下校時刻で学生だらけのホームはジメジメしていて、モワッと鼻につく独特の匂いに顔をしかめる。
「この駅、もうすぐホームに自動扉がつくんだって」
突然早紀はそう言った。
「自動扉?」
「うん。ホームに落ちないように、電車が到着した時だけ扉が開くの。ほら、新幹線のホームってそうでしょ?」
その言葉がなにを意味するのかわからなかった私は、「ふーん」とひと言返しただけ。
そして早紀と一緒に視覚障碍者のための黄色い誘導用ブロックの上に立った。
目の不自由な人がこんなにホームの端ギリギリにあるブロックを頼って歩くのは怖いんじゃないかなんて、頭の片隅で考える。
ほんの少し足を踏み外せば、線路に落ちる。