早紀が目の前で逝ってしまったときと同じように。

でも……ハッと我に返った私は、ダンプの下に潜りこみ、朝陽の手を握った。
彼は死なない。死なせない。


「朝陽……」


彼の額からは血がドクドクと流れ出している。


「朝陽、死んじゃイヤ……」


慌ててハンカチを取り出して彼の額にあてたけれど、すぐにハンカチは血で染まってしまった。


「イヤ……逝ったらダメ」


必死に呼びかけると、彼の手が微かに動いた。


「朝陽?」

「……つぐ」


小さな小さな彼の声が聞こえたので、慌てて耳を彼の口もとに持っていく。


「俺……」

「なに?」

「俺……まだ……やりたいこと」


彼は苦しげに顔をゆがめ、途切れがちになりながらも、懸命に話す。