「また遊びに行くって約束したでしょ? 朝陽の来年の誕生日は、もっと盛大に祝うんだから……」
朝陽の肩をつかみ、懸命に話す。
お願い、諦めないで。
私たちの未来を、諦めないで。
「つぐ……ごめん」
すると朝陽は私を抱き寄せ、肩を震わせる。
「俺も生きたい。つぐが、なんでもない日常の幸せを教えてくれた。つぐの作った弁当も、とびっきりの笑顔も……見られなくなるなんて、イヤ、だ……」
やつと本音を吐いた彼は、私の頭を抱えるようにしてさらに強く抱き寄せる。
「もっとつぐを笑わせたい。俺も声を上げて笑いたい」
「朝陽、寒いよ。朝陽がいなくなったら、凍えちゃう。もっともっと、温めて」
あなたが早紀を失って空洞になっていた私の心に、温かい空気を吹き込んでくれた。
もう一度前を向いて歩いてもいいんだって教えてくれた。