だって、もう朝陽のいない生活なんて考えられないもの。
ついさっきまで叩きつけるように降っていた雨は、霧のようにしとしとと降り続く。
彼の腕の中で安堵しながら、私は恐れていた。
朝陽は生きていた。
誰も殺さなかった。
でも……彼は、運命を変えてしまった。
「朝陽、神社に帰ろう」
そして祈るの。
あそこいる神様が彼を導いている。
それなら、あの神社の神様にお願いするしかない。
祈ることしかできないなんてもどかしいけれど、今はそれしか思いつかない。
「そうだな」
朝陽は心なしか肩を落としたまま私を立たせると、手首を強く握り屋上を後にした。
神社までの道のりがこんなに長いと思ったのは初めてだ。
「朝陽、ありがとう」
もうこれしか言えない。