一瞬頭が真っ白になる。
もし朝陽が裕一先輩に復讐しなかったとしても、彼が死を回避した時点で、運命は一度目と変わってしまう。
朝陽は最後まで『死なない』と言ってくれなかった。
それは……裕一先輩に突き落とされなかったとしても、運命に手を加えた時点で自分の命が尽きることを知っていたからなの?
どう転んでも死しか待っていないことを知っていたからなの?
「そんな……」
そんなの、理不尽すぎる。
その手紙にはまだ続きがあった。
【つぐ。岸本さんのために頑張るお前は、輝いている。
でも、自分も労われ。
辛くなったら逃げてもいい。
俺は、つぐが笑顔で生きていてほしい。
つぐ。俺のために笑顔をありがとう。
俺、生まれ変わってよかったよ。
つぐに会えて幸せだった】