「記事にすると大ごとになってしまうけど、きみは大丈夫?」


彼にそう言われて、一瞬戸惑う。
きっと先生からもクラスメイトからもにらまれるだろう。

でも、誰かがやらなくちゃ。
このままなかったことにはできない。


「はい。覚悟はできています」


私がキッパリそう言うと、増田さんは「強いんだね」とつぶやいた。

本当は強くなんてない。
でも、こうして行動に移せたのは、朝陽の存在が大きい。

彼らがいたから、泣くだけだった私は、こうして立ち上がることができた。
そして、未来を見ることが、できた。


「これは、僕が必ず記事にするよ。きみみたいな友達を持って、岸本さんも幸せだね」

「よろしくお願いします」


早紀。これでいいかな。

早紀の命はとり返せないけど、苦しみはちゃんとわかってもらうね。


私は深く頭を下げ、新聞社を出た。