それから私は、早紀の両親に了解を得て、彼女の日記と金子さんと私の会話を新聞社に持ち込んだ。


「学校は、取り合ってくれなかったんだね」


まだ新人だという記者の増田(ますだ)さんは、私の話を聞いてくれた。


「はい。こんなことをしてもいいのか、すごく悩みました。でも、早紀をいじめた人たちにはきちんと反省してほしいんです」


命がひとつ失われたのだから、反省なんかで済むことではない。
だからといって、早紀と同じように死んでほしいとは思わない。

早紀への懺悔を一生背負って、二度と同じことを繰り返さないでほしいと願うだけ。


早紀の両親は、彼女たちのことを殺したいほど憎んでいるだろう。
でも、早紀は両親に手を汚して復讐してほしいなんて、絶対に思ってはいない。