「あ、そうだ」


私はバッグから小さな袋を取り出した。


「なに?」

「誕生日プレゼント……かな?」

「マジか。開けていい?」


私がコクンとうなずくと、彼は早速袋を開け始めた。


「これ……」

「ごめん。用意する時間がなくて。合格祈願」


彼が私より一回り大きな手に乗せているのは、お守りだ。


「でもこれ、手作り?」

「うん。ここの神社、売ってないでしょ? だから外は手作り。でも中はちゃんとお祈りしておいた」


彼はここで新しい命を授かったのだから、他の神社のものでは意味がない。
ここの神様に、彼が生き続けることを許してもらわなければ。

大学に合格するということは、朝陽の未来が続くということ。
それは私の強い願いでもあった。