「来るよ。絶対に来る」
「つぐ……」
神様は、どうして彼に残酷な運命を与えたのだろう。
なにひとつとして悪いことなんてしてないのに、彼の心は傷だらけ。
「私は朝陽とまたこの景色が見たい」
私がそう言うと、朝陽は返事をしなかった。
でも、握られた手がジンジンと温かくなってきた。
運命なんて逆らってやる。
私は朝陽とずっと一緒にいたい。
家に帰ると、朝陽にもらった貝殻を机に置いて、何度も眺める。
運命の日が刻一刻と近づいているのに、彼を救う決定的な手段が思いつかないのがもどかしい。
だけど、朝陽。
人生、辛いことだけではないんだよ。
一度命を失ってしまった彼にそれを教えるのは容易いことではない。
だけど、そうなの。
今日一日、笑顔だった彼の姿を思い浮かべる。
もっともっと笑って。
あなたの悲しみを吹き飛ばせるまで、私は笑顔のトラップをもっともっと仕掛けるから。