隣のレーンでは、「ガシャン」とピンがいくつも倒れる音が響いている。

取りあえずやってみなくちゃわからない。
ゆっくり手を引き、球を投げようとすると……。


「あ……」

「どこに投げるつもりだ」


朝陽はお腹を抱えて笑い出した。

それも仕方がない。
うしろに手を引き前に押し出そうとした瞬間、足もとにボトッと球が落ちてしまったからだ。


「しょうがないじゃない。初めてなんだもん」


恥ずかしくて顔を伏せると、彼は再び私のところにやって来た。


「それじゃ、練習するぞ」

「えっ? ……うん」


彼は私のうしろに立つと、背中越しに私の右手を持ち説明を始める。


「つぐは離すのが早すぎるんだ。まずはここからスタートで、こう引くだろ?」

「うん」