朝陽が私の手から焼きそばパンを奪っていく。
そして、本当に大きな口を開けて私のパンを食べようとするからぎりぎり取り返すと、彼は顔をクシャクシャにしながら笑った。
今、私、すごく幸せ。
朝陽の笑顔を見ているこの時間は、私に安らぎをもたらした。
週末はいいお天気だった。
どこに行くか考えに考えて、ボーリングに行くことにした。
「高校生ふたり」
受付をしようとすると、学生証の提示を求められる。
「あれ? 朝陽、誕生日もうすぐなんだね」
そのとき、チラッと見えた生年月日は、来週の十一月十日だった。
「あぁ、まあね」
朝陽が生まれた日か……。
なにかお祝いをしたいと頭の隅で考えた。
「朝陽、ボーリングうまいの?」
「まぁ、そこそこ。つぐは?」