私は朝陽に話したように、野上先生にも日記のことを話した。
「そっか。早紀ちゃん、ひとりで頑張りすぎちゃったんだね」
私が大きくうなずくと、「でも」と先生は話を続ける。
「やっぱり、つぐみちゃんと一緒にいるときは、楽しかったんだと思うわ。早紀ちゃんにとって、とっても幸せな時間だったはず」
「そうだと、うれしいんですけど……」
それならもっと彼女との時間を楽しめばよかった。
「うん。早紀ちゃんは残念なことになってしまったけど、つぐみちゃんは今を生きなさい。ああしておけばよかったと過去を振り返ることも大切よ。でも、現実を受け止めて前に進む勇気も必要なの」
『今を生きる』という先生の言葉は、胸に響いた。
早紀のことはもちろん忘れない。
でも今、私には朝陽がいる。