次の日、私は午前中欠席して病院に向かった。
野上先生の外来があったからだ。
あれから食べられるようになった私は、病院には行っていない。
だけど、定期的に顔を出すことを約束していた。
経過観察、らしい。
「久しぶりね。顔色がよくなってる。食べられてるのね」
「はい」
先生はたくさんの患者を抱えているのに、私のこともちゃんと覚えていてくれた。
「よかった。他に……頭痛なんかもないかしら?」
「雨の日は少し痛みます。でも、大丈夫です」
早紀が逝ってしまったあの日は雨だった。
だからどうしても思い出してしまう。
「そう。痛み止め、出しておくね」
先生はカルテに書き込みながら話を続ける。
「あれから、少しは気持ちの整理ができた?」
「先生……実は早紀の日記が見つかって」