教室に着くと、彼はそのまま私の机まできてくれて、カバンを置いた。
朝陽が現れると、教室の中が一瞬にしてざわつき始めた。
「今日は……音楽が教室移動か?」
それなのに彼は素知らぬ顔をして、私にそう尋ねる。
「うん」
「それじゃ、その時に来るから待ってろ」
「えっ? 大丈夫だよ」
「いいから。絶対に待ってろよ」
まるで私の手伝いをしてくれる人が誰もいないことを知っているかのような発言に、目を丸くする。
やっぱり、知ってるんだ……。
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