この学校は学力のレベルは高い。
でも、どれだけ勉強はできても人間として大切なものが欠けている生徒がいる。
常に競争を強いられるせいか、数字だけが判断基準で、他人を思いやることより蹴落とすにはどうしたらいいのかばかり考えている生徒も多い。
裕一先輩のように。
「高瀬、落ち着け。告発なんてしたら、高瀬もこの学校にいられなくなるかもしれないんだぞ」
今でさえ、誰も私に係わろうとしない。
次のターゲットは私だろう。
でも朝陽がいてくれるから、積極的な行動に出ていないだけ。
「そんなのかまいません。学校より大事なものを見つけましたから」
今まで、高校を卒業して、できるだけ偏差値の高い大学に合格して、一流と言われる企業に就職することが成功者だと思ってきた。
でも、友達を見捨ててそれを達成したところで、虚しいとしか言いようがない。