「高瀬!」
すると担任が慌てて追いかけてきた。
「お前、なにするつもりだ」
「なにって、世間に公表します」
新聞社に持ちこめば、きっと興味を示してくれる。
私の力でどうにもならないのなら、別の力を借りるまで。
「そんなことしたって、岸本は戻ってこない」
「わかってます。でも、どうして早紀だけが死んで、追い詰めた人間が笑っていられるんですか? おかしいと思いませんか?」
先生は、あの五人のことを承知しているはずだ。
でも、口をつぐんでいるだけ。
「あのな、いじめがあったなんて公表したら、この学校の評判はガクンと落ちる。そうすると、高瀬自身の進路にも影響するかもしれないんだぞ」
だから? だから早紀は見殺しにしろと?
「そんなことしていたら、また誰かが死にます」
朝陽も……あと数か月で――。
いや、そんなことさせない。