担任が私にそう告げた瞬間、激しい怒りが私を襲う。
「先生たちだって、知ってたはずです」
バケツの水をかぶったときも、私たちが体操服に着替えた理由を知っていたはずだ。
いじめられてとは言わなかったけど、わかっていたはず。
「ここに『足を引っかけられて転んだところを先生が見ていた』と書いてあります」
必死に訴えたけど、「証拠がないよ」と鼻で笑われる。
「証拠なんて必要ですか? 早紀が死んだのに、先生たちはなんとも思わないの?」
「高瀬、校長先生に失礼だ」
担任にたしなめられ、初めて早紀の絶望を知った。
どこにも味方なんていないんだ。
「先生たちがなにもしてくれないのなら、私がひとりで真相を暴きます」
私はそのまま校長室を飛び出した。
ここではダメだ。
以前と同じ。握りつぶされて終わりだ。