「だけど、つぐが傷つくかもしれない」


朝陽が心配してくれるのがうれしい。でも……。


「もう二度とこんなことが起こっちゃダメなの」


早紀は救えなかったけど、朝陽の命は守りたい。
早紀を死に追いやった人たちに反省してもらい、その姿を通して、裕一先輩には考え直してほしい。

誰かを傷つけるということがどんなに残酷なことなのか、きちんと知ってもらいたい。

もし自分が傷ついたとしても、朝陽の人生のプログラムを書きかえたい。


「つぐは、泣き虫なんだか、強いんだか」


朝陽は少し困った顔をして、それでも口角をあげる。


「好きなようにやってみろ。俺が必ずお前を守ってやる」


私がうなずくと、彼は乾きかけた私の髪をグシャグシャッと撫でて笑った。


「朝陽、ありがと」


洋服がすっかり乾くと再び着替えて帰ることにした。


突然のスコールのような雨はすっかり上がっていて、西の空から晴れ間が差している。

空に浮かぶ真っ白な雲はすごい勢いで流れていき、気圧の大きな変化を感じる。