「だけど彼女、つぐと一緒にいて楽しかったって書いてたんだろ?」
「……うん」
「そんな彼女の気持ちを、つぐが否定したらダメだ」
朝陽のその言葉は、スーッと胸に入ってきた。
早紀が楽しいと思ってくれたことまで、私が否定してはいけないのかもしれない。
「俺は、つぐがこうして生きていることがうれしい」
「朝陽……」
一度死んでしまったという彼の言葉には重みがある。
「朝陽は死なないで」
彼はそれに対する返事はせず、私の背中に回した手に力を込めた。
「私を置いていかないで……。自分の命を守るようにできているんでしょ?」
自分の死を知っている彼が、これからどうしようと思っているのかわからない。
でも、絶対に死んでほしくない。