「朝陽、三年なの?」
「そう。つぐは予想通り一年だった」
「それって、子供っぽいってこと?」
私が口を尖らせると、朝陽はケラケラ声を上げて笑った。
「カバン、ありがとう」
「教室まで行く」
私が彼からカバンを受け取ろうとすると、ヒョイッと持ち上げられ届かなかった。
「でも……」
朝陽には、教室の様子を見られたくない。
三年生なら、あのことを知らないかもしれない。
このまま朝陽と仲良くしたいのに、それができなくなってしまう。
「いいから。なにを知っても、俺は驚いたりしない」
「えっ?」
もしかして、知ってるの?
唖然とする私を置いて先に階段を上がろうとする朝陽は「置いてくぞ」と私に声をかける。
その時の笑顔が、『大丈夫』と言ってくれている気がして、うれしかった。