早紀と一緒に見た鮮やかな虹が頭に浮かんで消えていく。


「早紀の……日記が見つかったの」


私は心の整理をしてから口を開いた。


「読んだのか?」


私は大きくうなずいた。

マグカップをテーブルに戻し朝陽の目を見つめると、視線が絡まる。
今にもこぼれそうな涙をなんとか我慢して私は続けた。


「『私は地獄だ』って……。でも、早紀はお母さんに心配かけたくなくて、必死に学校に通ってたの」


朝陽は大きくうなずいてくれる。


「なんで私、学校になんて来なくていいって言ってあげられなかったのかな」

「つぐ……」

「命より大切なものなんてないのに」


涙が意思とは関係なく勝手に流れていく。
泣きたくないのに。

泣いたって早紀は戻ってこないとわかっているのに……。