長すぎる袖をまくろうとすると、「まったく世話が焼ける」と彼が私のうしろにやってきて、背中越しに手を伸ばし、丁寧に袖口を何度か折り曲げてくれた。
「あ、ありがと」
「どういたしまして」
いつも隣にいるのに、彼の部屋にふたりきりだと緊張してしまう。
「いただきます」
朝陽が持ってきてくれたホットミルクには砂糖がいっぱい入っていた。
「甘くておいしい」
「つぐのは特別砂糖たっぷり」
「朝陽は?」
「俺は入ってない」
なんだか子ども扱いされているようで悔しい。
「子供扱いするんだから!」
まぁ、この格好、子供みたいだけど。
「子供の世話は大人の仕事だ。なにがあった?」
朝陽は単刀直入にそう言った。
だけど、私がマグカップを持ったままなにも言わなくても、急かすことはない。