「俺の部屋は階段上がって一番手前。温かい物持っていくから、先に行ってろ」
「うん、ありがと」
吹き抜けになっている玄関から続く螺旋階段。
きちんと建築士に設計してもらったんだろうななんて余計なことを考えるのは、ちょっと緊張しているからだ。
階段を上がると、すぐにひとつ目のドア。
『先に』と言っていたけど、勝手に入るのはためらわれて、廊下で待った。
「なんだ、入っててもよかったのに」
両手にホットミルクを持った朝陽が、「ほら、開けろ」とドアを開けるように指示する。
彼の部屋は、すごくシンプルだった。
机にベッド。そして真ん中にローテーブル。
いろんな色があふれている私の部屋とは違い、基本黒で統一されている。
テーブルにカップを置いた彼は「ほら、飲んで温まれ」と私に勧めてくれる。