「ヤバイ。つぐ、早く」

「そんなこと言ったって……」


朝陽のようには走れない。
ぽつぽつと雨足が強くなる中、朝陽と一緒に全力で走った。


「ここだよ。びしょ濡れだな」


やっと彼の家についたものの、残念ながらふたりとも完全に濡れている。


「すごく立派な家なんだね」


私の家とは比べ物にならないほどの豪邸に驚いて恐縮していると「風邪ひくぞ」と彼はためらう私を引っ張った。


「乾燥機あるから、服を乾かそう。その間、俺の貸してやる」


玄関で立ち尽くす私にすぐにタオルを持ってきてくれた彼は、私の頭にタオルを掛けてごしごし拭いてくれる。


「自分でやるよ。朝陽も濡れてる」


彼も同じように濡れているのに、自分のことはお構いなしだ。