でも、あのふたりはよくないとわかっていて、リスクのある恋をしていたはず。
それを、チクッたヤツが悪いなんておかしな話だ。

それに、早紀は言ってない。
最初は私にさえ話さなかったのだから、興味すらなかったに違いない。

その日の日記は、『地獄』という言葉とは対照的なことも書いてあった。


【でも、つぐみがささみカツをくれた。中に梅肉が入っていて、すごくおいしかった。
私もつぐみに料理を習いたい】


その日も私について触れてあった。
私も一緒に料理したかったよ……。


目頭が熱くなり、もう抑えきれなくなった涙がポタポタとこぼれはじめた。

だけど、日記に落とすわけにはいかない。
慌ててごしごし拭き、続きを読み始めた。