【五月四日
ゴールデンウィーク中は宿題だらけでつまらない。
でも、街中に買い物に出かけたら、見ちゃった。
黙っておいてと念を押されたけど、言うつもりはない。
噂話は好きじゃないから】
「これ……」
先生と二年の先輩のデートを目撃してしまった日のことだ。
早紀はやっぱり、言いふらしてなんかない。
【五月十日
どうしてだろう。私は言ってない】
その日の日記はたったひと言。
その文字の下の紙は少しふやけている。
おそらく涙の跡だ。
【五月十二日
私は言ってない。
先生はもちろん知ってたけど、相手がなんという名前の先輩なのかも知らなかった。
先生が焦って口止めするから、相手は生徒なんだろうって思っただけ】