早紀のノートを抱え、家まで走った。

今日も朝陽と神社で待ち合わせをしている。
でも、約束の時間までまだ二時間くらいある。

ベッドに座りノートを手にすると、緊張で手が震えてきてしまった。


「早紀、読むね」


意を決して表紙を開くと、【入学式】という文字が目に飛び込んできた。
どうやら高校生活を始めてから書いていたものらしい。


【四月七日

今日は入学式。
知らない人ばかりで戸惑ったけど、つぐみが声をかけてくれた。
すごくうれしくて、すぐにラインを交換した】


そのときのことをよく覚えている。

私も緊張していて……偶然隣の席だった早紀に思い切って声をかけると『私も緊張してた』から話が弾み、ライン交換までした。


その日記には、長い文章は見当たらない。
その日起こったことを忘れずに書いておこうとしたもののようだ。