昨日は気が動転してよくわからなかったけど、彼の髪はほんの少し茶色がかっていて、柔らかそうなくせ毛。

きちんとスタイリングしているのだろう。
まるで緩やかなパーマをかけたかのようにうまくまとまっている。


第一ボタンを外してほんの少しネクタイを緩めているからか、ちょっとやんちゃなイメージだけど、冷静に傷口を縛り病院に連れていってくれた彼は、頼もしい男の子だった。


「昨日は、本当にありがとう」


私の横でペースを合わせながら歩き始めた彼の顔を見上げてそう言うと、照れくさいのか真っ直ぐに前を向いたまま視線を合わせてくれない。


「あそこで助けなかったら、ひどい男だろ、俺」


「フ」と鼻で笑う彼は、少しだけ口角をあげた。


「でも、重かったでしょ。ごめんね」

「ちっとも重くなんてなかったさ。ちょっと足が筋肉痛なだけ」

「え……」