「ごめん。気分が悪いから帰るわ」 裕一先輩はそう言い残して去っていく。 結局、先輩を怒らせただけでなにもできなかった。 「つぐ、なにかあったのか?」 その日の帰り、朝陽はボーッとしている私に気がついた。 「えっ? なにも……」 彼のためになにかしたいと思ったのに、もしかしたら逆効果だったかもしれない。 裕一先輩に余計な不安を植え付けてしまった気もする。 「それならいいけど」 このまま幸せな日が続けばいいのに。