「そっか。離れ離れになるから、不安なんだ」
先輩は私の悩みがわかったというような顔をして微笑んだ。
でも……。
「生きていれば、いつでも会えます」
「ん?」
思わず発してしまった言葉に、先輩は首をかしげる。
「なんでもありません。でも、生きていればできることはたくさんあります。失敗してもやり直すことだってできます」
どうしたら、朝陽に手をかけることを、思いとどまらせることができるのだろう。
「君はわかってないよ」
「えっ?」
突然吐き捨てるようにそう言った先輩に驚き、思わず声が出た。
「なんにもわかってない。親父は失敗なんて許さない。許すはずがない」
今までの笑顔はなんだったのかと思うほど目を尖らせた先輩は、給水槽をドンと叩いた。