――ギギーッ。
屋上に続くドアはさび付いていて、耳障りな音を立てる。


「ここ、入っても大丈夫なんですか?」

「ホントはダメだよ。でも、時々息抜きに来るヤツはいるかな。あっ、こんなこと一年生に教えたら、先輩失格だ」


裕一先輩は笑うと右側だけえくぼができる。
こんなに柔らかな笑顔を見せる彼が、朝陽を殺したなんてやはり信じられない。


「それで?」

「キャッ」


屋上に出た瞬間、強い風に襲われ慌ててスカートを手で押さえた。


「あぁ、こっちおいで。ここなら風をしのげるよ」


給水漕の陰に私を誘導する裕一先輩は、優しかった。


「すみません」


朝陽はどこから落ちたのだろう。
ふとそんなことを考えて、顔が険しくなる。


「なんか深刻? すごく辛そうな顔してる」

「いえ……」