三年生の廊下をうろついていると、なんとあちらから話しかけてきたのだ。


「いえ。あのっ、先輩に用があって……」

「俺?」


首をかしげる裕一先輩は「朝陽とケンカでもしたんだろ?」とクスクス笑う。

この人が、本当に朝陽を殺したの? 
まったくそんなことをしそうな人には見えない。

一瞬、朝陽の言っていた生まれ変わりの話がすべて嘘だったのではないかと思えるほどに。


「えっと、あの……ちょっと場所を変えても……」


こんなところを朝陽に見られたらまずい。


「いいよ。朝陽にナイショなんだろ? そうだな。屋上にでも行くか」


『屋上』という言葉が出た瞬間、ビクッと震える。
朝陽の最期の場所に本当は行きたくない。

でも、拒む理由を思いつかず、私は裕一先輩についていった。