次の日は、松葉杖をつきながら学校に向かった。
幸い空は晴れ渡り、ゆっくりならひとりでも登校できた。

秋になり少しずつ冷えはじめてきた空気は、慣れない歩行で力が入り熱くなった体を、丁度いい体温に下げてくれる。

どこからか落ち葉が飛んできて、私の肩のあたりで切りそろえられた髪にまとわりついた。


「おはよ」


その枯れ葉を取ろうとすると、一瞬早くそれに手を伸ばした人がいる。


「朝陽……くん」

「朝陽でいいから。俺もつぐでいい?」

「あっ、うん」


『つぐみ』じゃなくて『つぐ』なんだと思いつつ、彼に会えたことがうれしくて頬が勝手に緩んでくる。


「ほら、カバン貸せよ」


彼は私の肩から重いカバンをスッと奪った。


「ありがと」