「私も、だよ」
早紀がいなくなってから笑うことを忘れていた私に、それを思い出させてくれた彼は、私に必要な人。
やがて私の家の前に到着すると、彼は私の目を真っ直ぐに見つめ小さく息を吐きだした。
「つぐとこうして一緒にいたい。でも、俺……」
ギュッと手の力を込めた彼の瞳が揺らいだ気がして、胸騒ぎがする。
「どうしても裕一を許せない」
彼の告白に、思わず目を見開いた。
朝陽に手を掛けたのは、裕一先輩だったの?
あの時の冷たい態度がようやく理解できた。
自分を殺すとわかっている相手と毎日向き合わなければならない朝陽の気持ちが、その苦しげな顔から伝わってくる。
どうしてこんなに残酷な運命が存在するんだろう。
そして、唇を噛みしめる彼の悔しそうな顔に、ハッとする。