この話が本当ならば、一年前から人生をやり直している彼は、このままでは推薦が決まった後、死んでしまう。


「俺……どうしてもアイツを許せない」


彼の声が震えている。
親友だと信じていた人に裏切られた気持ちは、想像を絶するだろう。


「朝陽、お願い、そばにいて」

「つぐ……」


彼の制服のジャケットをギュッと握りしめながら、うまく働かない頭をフル回転させて考える。

これから起こることを知っているのなら、それを回避できるということ?

それなら、屋上に行かなければいい。
それで運命は変わるはず。

そう思えた瞬間、高ぶりすぎていた気持ちがほんの少しだけ緩んだ。

それでも彼の悲しすぎる過去を知り、涙はとどまることを知らない。


「つぐ、悲しい話をしてごめんな」