「高瀬さん、犬、捕まったらしいですよ。どうやら狩猟につかうような犬だったようですけど、狂犬病のワクチンは打ってあったみたいです。とりあえずひと安心ですね」
「よかったな」
朝陽もホッとしたような顔を見せる。
「つぐみ!」
そのとき、バタバタと母が駆け込んできた。
「お母さん」
「犬にかまれたんだって? 大丈夫なの?」
「うん。ちゃんと処置してもらったし、助けてもらったから」
朝陽を紹介しようと思ったのに、彼は母のうしろから姿を消していた。
帰っちゃったの?
でも、朝陽は私の高校の制服を着ていた。
きっとまた会える。