――カサッ。

私が歩くたびに、階段に所狭しと落ちている落ち葉が音を立てる。

遠くからみると、この神社の長い石畳の階段を覆うように茂っている紅葉は真っ赤に染まり、溜息が出るほど美しいのに、近くに来てその落ち葉を手に取ると、所々茶色く変色していて、虫に食べられたであろう穴も開いている。


「一生懸命、生きたんだよね」


それでもその葉が愛おしいと思うのは、おそらくこれから腐敗して土に戻っていく葉が、必死に自分を赤く染め、最後に一花咲かせたことを知っているからだ。

いや、花じゃないから、おかしいか。


小さな穴の開いた紅葉の葉を手に取り、階段を上がる。

高校生になってから履き始めたローファーはすっかり足になじんで、石でできた階段を踏むたび カツンと音を立てる。