悶々としながら、あっという間に迎えた放課後。
友達と少し寄り道してから家に帰ると、冷蔵庫にケーキの箱が入っていた。
若いママに人気だとかいう洋菓子専門店のものだ。
「どうしたの、これ」
「ミホが買ってきてくれたのよ」
お母さんがリビングから答えた。
「お姉ちゃん、来てたんだ」
「ついさっきまでね。もうすぐ葉月が帰ってくるから待ってれば?って言ったんだけど」
「そう」
ラブリーなピンクの箱を見るだけで胸やけがしてくる。わたしは冷蔵庫を閉めた。
「すごくおいしいのよ。夕食のあとに食べなさい」
「いらない。晩ごはんも食べない。今日からダイエットする」
何言ってんの、とお母さんがため息をついた。
「あんたの歳でダイエットなんて必要ないでしょ」
「あるの。やせたいの」
だって、お姉ちゃんは高校生のころから、すらっとしてたもん。
背の高いタイショーと並ぶと、完成した一枚の絵みたいだった。