遥か下方から、テンが何か叫んでいた。
伸二さんは嬉しそうに、にっこりと笑い。
こちらこそ、とつぶやくと。
次の瞬間、破裂した。
目を焼くような光に、私は何も見えなくなった。
ぽーんとほうり出されたような感覚の中、テンの声がする。
てめえ確信犯だな、という罵りに、あとは頼む、と冷静な声が返した。
枷は、外れきっていなかったのだ。
私の差し出した、爆弾も同然の食料に、伸二さんの身体は、アナフィラキシーショックとも言うべき、激しい拒絶反応を起こした。
もはや肉体のほうが、耐えられなくなるほどの。
それでもそのエネルギーを、最後の瞬間に使ってくれた。
もう一度、大いなるタブーを犯すために。
最初の推進力そのままに、私の身体はどこかへ向かって、ぐんぐん進む。
伸二さん。
伸二さん。
──なんだ
──どこへ行くの
──きみは戻り、やがてすべて忘れる
──そうじゃなくて、伸二さんは
さあ、と徐々に遠ざかる声が、無頓着に笑った。
──どうして、こんな無茶
──空腹に耐えかねた
──嘘ばっかり、私のためでしょう
──俺たちは嘘をつかない
──伸二さんは、どうなるの
──知らないが、きみたちの考えを借りるなら
待って、よく聞こえない。
伸二さん、待って。
雑音がさわさわと邪魔をした。
必死に耳を澄まして、最期の声を拾った。
──きっと俺は
──トワのいるところへ、行けるんだろう──…
真っ白だ。
何もかも、真っ白。
──っちゃん…
いや、案外、赤い、ような?
──あっちゃん
うるさいな、誰だか知らないけど、黙ってよ。
眠いの、今。
伸二さんは嬉しそうに、にっこりと笑い。
こちらこそ、とつぶやくと。
次の瞬間、破裂した。
目を焼くような光に、私は何も見えなくなった。
ぽーんとほうり出されたような感覚の中、テンの声がする。
てめえ確信犯だな、という罵りに、あとは頼む、と冷静な声が返した。
枷は、外れきっていなかったのだ。
私の差し出した、爆弾も同然の食料に、伸二さんの身体は、アナフィラキシーショックとも言うべき、激しい拒絶反応を起こした。
もはや肉体のほうが、耐えられなくなるほどの。
それでもそのエネルギーを、最後の瞬間に使ってくれた。
もう一度、大いなるタブーを犯すために。
最初の推進力そのままに、私の身体はどこかへ向かって、ぐんぐん進む。
伸二さん。
伸二さん。
──なんだ
──どこへ行くの
──きみは戻り、やがてすべて忘れる
──そうじゃなくて、伸二さんは
さあ、と徐々に遠ざかる声が、無頓着に笑った。
──どうして、こんな無茶
──空腹に耐えかねた
──嘘ばっかり、私のためでしょう
──俺たちは嘘をつかない
──伸二さんは、どうなるの
──知らないが、きみたちの考えを借りるなら
待って、よく聞こえない。
伸二さん、待って。
雑音がさわさわと邪魔をした。
必死に耳を澄まして、最期の声を拾った。
──きっと俺は
──トワのいるところへ、行けるんだろう──…
真っ白だ。
何もかも、真っ白。
──っちゃん…
いや、案外、赤い、ような?
──あっちゃん
うるさいな、誰だか知らないけど、黙ってよ。
眠いの、今。