遠慮がちな問いかけだった。


そうだった。

今日はおそらく大丈夫と、伸二さんは言ってくれたけど、明日の保証はない。

というか、そろそろ本気で、たぶん私の時間は尽きる。


その時、林太郎といるのは、正直どうなのか。



「たぶん…大丈夫」

「大丈夫って、どういう意味?」

「あんたと行かれそうってこと」



他に何があるの、と理解できずに訊き返すと、林太郎の顔が、ぱっと晴れた。



「僕と行くのは、あっちゃんにとって"大丈夫"なんやね」

「約束してたんだから、当たり前でしょ」

「約束って、思ってくれてたんや」



よかったあ、と本当に嬉しそうに、胸をなでおろす。



「どういう意味だと思ったの」

「僕と行かんくて済みそう、とか」



なんだよそれ。

そんな意味で"大丈夫"とか、私が言うと思ってたわけ?

いったい私は、どれだけ林太郎に対して非人道的と思われているんだろう。

邪険にすることはあっても、人としての礼儀を欠いたことはしてこなかった、つもりなのに。



「じゃあ、夕方くらいに迎えに来るね」

「あのさ、もしその時いなかったら、私、たぶん…」



その、と言葉を探した。



「ダメってことだから、置いてって」

「ダメって?」

「行かれなくなったってこと」



ここまで来ての、この煮えきらない約束を不可解に思ったらしく、林太郎が眉をひそめた。

わかった、と従順にうなずいてから、私を見る。