「じゃあ、より強い方に従ってください。もう一回、言います。俺以外の男の言うことは聞くな」


「指、痛い……」


「他の男に従うなと言っている。返事は?」


葦原くんの声はナイフのように鋭く冷たく、グリーンの瞳がきらめいている。

答えず、ただ頷く。

反抗することはできない。


そして、私は気付いてしまった。

彼がこんな場所で欲情しているってことに。

本気になる前にと、デスクから降り逃げる算段をつけるけれど、吐息がまじりあうほどに迫った彼の唇は、今にも私を捉えそうだ。


「もう、帰るから。離れて」


「今夜は俺と過ごすはずでしたが」


葦原くんの指がするするとスカートの中に侵入してくる。
熱い掌がふとももを撫でさすり、ぞくりと暗い快感が私の身によみがえった。


「今日は駄目って言った」


「もう残業は終わったでしょう?今からでもいい」