「ありがとう、葦原くん」
お礼を言いつつ、少しでもふたりきりの時間を無くそうと、私は通勤鞄を手に立ち上がる。
今日の誘いは断った。もう帰ってしまえばいい。
すると、素早く葦原くんが近づいてきた。
「要領悪い」
不機嫌な顔。無視して帰ろうとすると腕をつかまれた。
抗う間もなく、私は自分のデスクに尻もちをつき、座り込む格好になった。
「セクハラの時も大概受け身で驚きましたが、あなたは人にいいように使われることに対して、怒りや疑問を覚えないタイプですか?」
葦原くんが間近く見つめてくる。
デスクに腰かけ彼を見上げる私。葦原くんは180センチ以上ある。私は160センチ。20センチの身長差はそのまま力の差になる。
逃げようと手をふりほどくけれど、すぐに捕まえられがっちりと拘束される。
デスクに座らされ、手首を戒められる。
指一本一本の力が強い。そして、彼の顔は本当に間近にあるのだ。
「あいつら、あなたのことをバカにしてるから押し付けてくるんですよ?」
「私のこと、バカにしている葦原くんに言われたくない」
この男こそ、私を侮り、嘲っている。
彼の私への感情は統制できない弱者を征服したいという欲求のみなのだ。
私をターゲットにした時点で目下に見ている。
お礼を言いつつ、少しでもふたりきりの時間を無くそうと、私は通勤鞄を手に立ち上がる。
今日の誘いは断った。もう帰ってしまえばいい。
すると、素早く葦原くんが近づいてきた。
「要領悪い」
不機嫌な顔。無視して帰ろうとすると腕をつかまれた。
抗う間もなく、私は自分のデスクに尻もちをつき、座り込む格好になった。
「セクハラの時も大概受け身で驚きましたが、あなたは人にいいように使われることに対して、怒りや疑問を覚えないタイプですか?」
葦原くんが間近く見つめてくる。
デスクに腰かけ彼を見上げる私。葦原くんは180センチ以上ある。私は160センチ。20センチの身長差はそのまま力の差になる。
逃げようと手をふりほどくけれど、すぐに捕まえられがっちりと拘束される。
デスクに座らされ、手首を戒められる。
指一本一本の力が強い。そして、彼の顔は本当に間近にあるのだ。
「あいつら、あなたのことをバカにしてるから押し付けてくるんですよ?」
「私のこと、バカにしている葦原くんに言われたくない」
この男こそ、私を侮り、嘲っている。
彼の私への感情は統制できない弱者を征服したいという欲求のみなのだ。
私をターゲットにした時点で目下に見ている。