「あっ……葦原くん!」
私は驚きのあまり上ずった声で彼を呼んだ。
思い切り不満げな表情で見返してくる葦原くん。
「わかりやすくどもらないでください」
「帰ったんじゃなかったの?」
「俺との約束を反故にしてまでやる仕事がどんなもんかと気になりまして。……また、連中に押し付けられてますね」
葦原くんは不快そうだ。顔をしかめて、画面を見つめている。
私に仕事を押し付けたのが誰かも昼間の時点で知っていたのだろう。
「俺以外の男の言うことを聞いちゃいけないでしょう」
「バカなこと言わないで。仕事だから」
葦原くんは答えず、自分のデスクに戻るとノートPCを開く。
私の使っているファイルを閉じさせ、コピーすると勝手に半分を指定し、作業に入った。
彼が優秀なのは、私だってよく知っている。
葦原くんのおかげで終電に間に合うかといった状況は回避され、23時半にはPCの電源を落とすことができた。
後輩としてすこぶる有能な彼に、それだけは少し感謝だ。
私は驚きのあまり上ずった声で彼を呼んだ。
思い切り不満げな表情で見返してくる葦原くん。
「わかりやすくどもらないでください」
「帰ったんじゃなかったの?」
「俺との約束を反故にしてまでやる仕事がどんなもんかと気になりまして。……また、連中に押し付けられてますね」
葦原くんは不快そうだ。顔をしかめて、画面を見つめている。
私に仕事を押し付けたのが誰かも昼間の時点で知っていたのだろう。
「俺以外の男の言うことを聞いちゃいけないでしょう」
「バカなこと言わないで。仕事だから」
葦原くんは答えず、自分のデスクに戻るとノートPCを開く。
私の使っているファイルを閉じさせ、コピーすると勝手に半分を指定し、作業に入った。
彼が優秀なのは、私だってよく知っている。
葦原くんのおかげで終電に間に合うかといった状況は回避され、23時半にはPCの電源を落とすことができた。
後輩としてすこぶる有能な彼に、それだけは少し感謝だ。