「今日ちょっと残業できる?俺たち緊急の外出が入っちゃってさ」
「馬場情報コミュニケーションから依頼の統計データ提出が間に合いそうもないんです。九重さん、お願いできませんか?前も一度お願いしたヤツなんですけど」
二人は口々に言う。困った顔をしてペコペコと頭を下げて。
私は軽くうなずき、答えた。
「いいですよ。詳細メールしておくか、共有に上げておいてください」
ふたりの顔がほころぶ。
「さすが、頼りになりますね!九重さん!」
「助かるよ、今度お礼するから」
「お気になさらず」
ふたりが行ってしまうと、横から佐賀さんが眉をひそめて言う。
「あのふたり、絶対またサボリですよ」
「かもね」
彼らの『緊急の外出』は、仕事じゃない。飲み会だとか、サッカーの試合だとか。
そういう完全な私事でこのふたりはよく周囲を巻き込む。
一度、未來さんにこのことがバレ、散々説教されてからはあまりやらなくなってきたんだけれど、要は相手を選んでいるのだ。
文句も言わず、言うことを聞いてくれそうな相手に頼むことにした様子だ。
どうやら今は私がターゲットみたい。
「馬場情報コミュニケーションから依頼の統計データ提出が間に合いそうもないんです。九重さん、お願いできませんか?前も一度お願いしたヤツなんですけど」
二人は口々に言う。困った顔をしてペコペコと頭を下げて。
私は軽くうなずき、答えた。
「いいですよ。詳細メールしておくか、共有に上げておいてください」
ふたりの顔がほころぶ。
「さすが、頼りになりますね!九重さん!」
「助かるよ、今度お礼するから」
「お気になさらず」
ふたりが行ってしまうと、横から佐賀さんが眉をひそめて言う。
「あのふたり、絶対またサボリですよ」
「かもね」
彼らの『緊急の外出』は、仕事じゃない。飲み会だとか、サッカーの試合だとか。
そういう完全な私事でこのふたりはよく周囲を巻き込む。
一度、未來さんにこのことがバレ、散々説教されてからはあまりやらなくなってきたんだけれど、要は相手を選んでいるのだ。
文句も言わず、言うことを聞いてくれそうな相手に頼むことにした様子だ。
どうやら今は私がターゲットみたい。