窮屈に早鐘を叩く胸を押さえ、私は間近の未來さんに笑ってみせる。


「未來さん本人にうらやましいアピールしてたら、かっこ悪いでしょう?」


「いいわよ、してよ。カレシ欲しいアピール」


未來さんが唇を尖らせる。
普段のできる女っぷりと、その子どもじみた顔のギャップが愛しい。


「そうだ、鎌田部長!今度、ご主人の部下の方とか紹介してくださいよ!私と九重さんに!」


横から口を挟む本気度の高い佐賀さんの言葉。さらに他の若手女子社員から「ずるい」「私も!」などの声が飛ぶ。

未來さんは私の身体を引き寄せたまま苦笑いだ。


「イケメンがいるかわかんないわよ?」


「いいんです!安野産業の社員ってだけでブランドですから!」


佐賀さんをはじめとした女子社員が、きゃあきゃあその気になってはしゃぐ。


それを後目に、未來さんは私の耳元でささやいた。


「沙都子も本気で彼氏探すの?」