「仕方ないですよ。沙都子さんの身体が魅力的なんだから」


葦原くんは開き直って肩を竦めて見せた。


「いや、あなたの心こそ魅力的です。徹底的に俺を拒絶し、蔑みながら、俺に鳴かされて感じている。その矛盾に引き裂かれそうになっているあなたの心が素敵です。もっとぐちゃぐちゃになるまで壊してみたい」


彼の瞳を見ていれば、その欲求が伊達や酔狂ではないことがわかった。
葦原五弦は私を征服し、破壊したいと思っている。

ぞっとした。
他人にこれほどの感情を向けられたのは二度目だけれど、一度目は10年以上昔で、私はその場から逃げ出している。

しかし、今回は逃げ出すチャンスが見えないのだ。


「具体的に……どうしたいの?」


「俺の望むままに抱かれてください。俺が飽きるまで」


「私が断ったら?」


「前回と一緒ですよ。鎌田部長に妙な噂がたつ。そして、今回はもうひとつ、ペナルティー。あなたのハメ撮り画像が社内で共有されることになる」


私は黙った。
店員が私と彼の前にパスタを運んできたからだ。