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「九重、今、ミスミテックジャパンっておまえが担当だよな」


翌週の月曜だ。与野に声をかけられ、私はデイリーの仕事の手を止め頷いた。
最近、急な異動もあったせいで部署は忙しい。
私もいくつか担当企業が増えている。


「引き継いで、私。何かあったっけ」


「受注システムがダウンしてるって。午前中に来てほしいって電話があったぞ。あそこは確か、PC関係に詳しい人間がゼロだから、完全に会社の機能が死んでる」


それはちょっとした事態だ。
客先に出向くのは苦手だけど、事態は急を要するので逃げるわけにもいかない。


「挨拶も電話だったし、いい機会だから、すぐ行くよ」


「あ、じゃあ俺と外出が一緒ですね～」


与野の後ろから葦原くんが顔を出す。

猫ならぬ子犬の仮面をかぶっている葦原くんは、社内では相変わらずすこぶる人当たりのいい懐っこい後輩だ。
私との仲も完全に公認状態なので、最近は誰はばかることなく話しかけてくる。