「戻りました」

瑠衣が教室に戻ると、クラスメイトが一斉にそっちを振りかえった。

みんなの視線に大きくうなずいてみせると瑠衣は席についた。

山本先生はメガネ越しに瑠衣の表情を確認すると、両手を目の前に持っていく。


パチ パチ パチ


ゆっくりした拍手に、クラスメイトも徐々に手をたたきだし、最後は大きな拍手となってゆく。


パチパチパチパチパチパチ


しばらく続いた拍手は、山本先生が右手を上に挙げるとすぐに止まった。

「みんなよくやった。だが、これからが大変だ」

そう言いながら、山本先生は教室内をゆっくり歩き出す。