___そんな梨花を、あたしが殺した



「どうしよう……」

今さらながら震えだす手は、目の前に持ってきてもおもしろいくらい揺れている。

ガチガチと歯まで鳴り出す。

周りを見渡すけれど、誰の姿もこの音楽室にはなかった。

「どうしよう」

もう一度くり返してみるけれど、誰も答えてくれない。

グランドピアノにあった黒い椅子に腰かけたあたしは、今日のことを思い出す。


あれはお昼前……。


そう、国語の授業だった。