少し息を切らしている山本先生が、あたしに言葉を求めるように首をかしげた。

「先生、ごめんなさい。あたし……梨花を……」

こみあげてくる涙と戦いながら言葉にする。

「梨花を殺してしまいました」

「……」

山本先生はメガネの奥の目を少し大きくしたまま黙っている。

「そ、そんなつもりじゃなかったんです。もみ合っているうちに、梨花をつきとばしてしまって……」

「……え? 誰のことを言ってんだ?」


そうだよね……。


状況を理解しろ、ってほうがムリな話。